オーストラリアにきてマッサージ業界に足を踏み入れた方も少なくないのでは。
時給がレストランなどよりも高いのが魅力的であるマッサージ業界。
ワーホリで来て、お店で研修を受けて働いているなんて方も多いはず。
わたしは、日本の手技療法業界と似ている部分や違う部分に戸惑いながら、なんとか落ち着いたかなーっていう今日この頃。
今はなんとかちゃんとしたところで働いていますが、大分悩まされたセラピスト初期時代。
業界やオーナーの裏で何やっているか分からない感じがたまらなくモヤモヤして、いいように使われたような経験を何度もしました。
わたしのマッサージジャーニーを通して、オーストラリアや英語圏でマッサージをはじめた方、チャレンジしてみたいと思っている方の参考になればと思います。
この記事は、駆け出しのセラピストさん向けに書いています。先輩方は、あーあるあると温かい目でみていてください。いやそれ違うでしょ、と思うことがあればぜひ教えていただければ幸いです笑
わたしの背景について
日本で整体師として働いており、いつか大好きな英語と合わせて仕事できたらいいなと夢見ていました。
日本の整体院は、ほとんどが歩合制。わたしは整体院を掛け持ちをしていて、歩合制と時給制どちらとも経験があります。
「日本で働くということは信用の塊」
あまり疑うこともなく、会社に言われた通りに契約して働いていました。
その時の時給換算は、大体850円から1000円ほど。
当時はこの業界に足を踏み入れ手間もなかったし、経験を積みたい一心でせっせと頑張っていました。
・・・今考えたらこの時給にはもう戻れない。笑
整体業界をさよならした後、学生ビザでオーストラリアにきました。
日本の民間整体師の資格はオーストラリアではトランスファーできないため、リメディアルマッサージを西オーストラリアのTAFEで習い、卒業しました。
学生のあいだは、チャイニーズマッサージのお店、ホテルのスパなどを点々としながら、今は資格を活かしながらクリニックで働いています。
でもやはり体力には限界があるのが現実。
わたしはバランスを保つためにも、ホスピタリティジョブと掛け持ちをしながら時々セラピストをしています。
長く続けたいけど、自分の体も大切なので…笑
わたしはこういう働き方を選びました。
チャイニーズ系ってどんな感じ?
わたしが初めてオーストラリアで勤めたのは、チャイニーズマッサージ店でした。
チャイニーズマッサージは、アジア系のセラピストさんがいることが多く、オーナーもアジア系。
中国、台湾、香港、タイなど、バックグラウンドが近いので、話しやすいし、境遇が似ていて共有できることが多いです。
このお店の特徴は、強めのマッサージが主流だということ。
服の上から、もしくは服を脱いでタオルの上からする「ドライマッサージ」。
普通のオイルマッサージ、足のマッサージのリフレクソロジー。コンボメニューがあるお店もありますね。
場所によっては、イヤーキャンドル、グアシャがあったりするときもあります。
一概には言えないですがオーストラリアに来て資格がない場合は、こういうアジア系のマッサージ店で雇ってもらってキャリアを積んでいく日本人が多い印象です。
【経験談】採用〜クライアントへ施術までのながれ
わたしは、整体やっていたのもあって服の上からのドライマッサージができるというので採用!
(この時点で逆にオイルのマッサージはやったことがなかった笑)面接を受け、技術のチェックをされてその場で採用。
それでもやはりオイルマッサージとリフレクソロジーができなければいけなかったので、トレーニングをすることに。
ここから約1ヶ月ほどトレーニングをしながら、できそうなクライアントさんにはマッサージをするという日が続きました。日によっては8時間ステイしても1人だけ、なんていう日もあったり。
全ては自分の技術次第でもありますが、季節や時期によっても左右するのでなんとも言えないのが正直なところ。笑
わたしのお店では、最終的にマネージャーにマッサージをして合格だったら、トレーニング終了というかたち。その後、ようやくクライアントを取れる!という感じでした。
他の同僚にきいても「まだトレーニング中なの?!」と言われてしまったり。今考えたらなかなか長い間はぐらかされた気もしますが…。
しかしなかなかマネージャーに会えずにテストが受けられなかったり、わたし以外のセラピストが忙しくてなかなか練習相手がいなかったり…なんてこともありました。
結局のところトレーニング終了するまで1ヶ月くらいかかった気がします。
でもこの時に一緒に働いていたみんなとは、今でもまだ繋がっているほど仲良くなったのでとても思い出深いです。
ミニマムとは
マッサージ業界でよく聞く「ミニマム」
これがあるのとないのではなかなか違います!
特にリメディアルの資格を持っていない場合や始めたばっかりのときはなかなかクライアントが固定しないので、安定した収入を得ることが難しいこともあります
「ミニマム」とは、歩合制で一日働いたときの固定給のこと。日本で言う「保証」と同じですね。
たとえば、一日オープンからクローズまで勤務したとします。
クライアントがあまり来なくて稼げなかったときに、ミニマムがこの日の給料となります。逆にとても忙しくてミニマムを超える場合は、もちろん稼いだ分の給料となります。
ショッピングセンター内の忙しいお店はミニマムがないこともあります。
逆に言えば、「ミニマムを設定しなくても忙しく稼げる」ということ。それでも大体のチャイニーズマッサージのお店は、ミニマムがあります。
わたしはトレーニング期間が終わるまではミニマムをもらえず(今考えたら納得いかないけど…)、なかなか寂しい生活をしていました笑
トレーニング期間終了後、ミニマムを設定してもらってちゃんとお給料をもらうことができましたが。
始めたばかりのときは、ミニマムにたくさん助けられました。とくにパースは冬は本当にどこの業界も静かなので、マッサージ業界もなかなか寂しいんです笑
ABNで働くことについて
さて。
初めての面接のときに、こんなことを言われませんでしたか?
「働くときにABNが必要になるから、番号をとって欲しい」
そんなことを言われたら、一度ストップ!
ちゃんと話を聞いた方がいいです。
ABNとは、Australian Business Number の略。
これは個人事業主として働くときに必要になってくる手続きと、それについてくる番号です。
ABN で働く場合、「自分が自分の雇い主ということ」になるので会社から切り離されて仕事をする感じです。
わかりにくいかと思いますが、
イメージはそのお店の場所を使って働くけれど、自分で自分を雇ってるという感じです。
個人事業主のため、お店からの保障されません。
例えば、クライアントを怪我させてしまった、物を壊してしまった、など予期せぬ出来事が起こった場合。
もし雇われている場合は、お店の従業員として保障されます。
しかし先ほども触れましたが、個人事業主は「自分が自分の雇用主」。
そのため自分で責任を負わなければいけません。なので、別に保険に入る必要が出てくるんですね。(Public Liability・Work Compensationとよばれるもの)
また、ABNで働く時は、スーパーアニュエーションが雇い主からは支払われません。
個人事業主になると、自分で自分にスーパーを払うようになってきます。
そのため、基本給からそのスーパー分を上乗せしてもらわないとフェアではありません。
2022年12月現在は10.5%ですが、2025年までには12%になる模様。
これを知らずに、ほかのTFN(タックスファイルナンバー)で働いている人と同じ給料だったら、それはボスと話し合いをした方がいいと思います。
わたしの経験談として同じようなことがありました。
今考えれば変ですが。
わたしが働き始めたお店は、契約書がなかったので自分がいくらの時給で何%もらえて、スーパーはもらえるか、などがはっきりしないまま働いていました。
しかも人によって歩合が違うという…笑
オーストラリアにきたばかりで、右も左もわからない。
日本の環境が世界の当たり前だと思っていて、雇い主の言うことがすべて!と思って信頼していましたが…。
同僚に聞いても人によって言ってることが違い、戸惑う日々。
ペイスリップ(給料明細)もなかったし、マネージャーに聞いてもはっきりした回答が返ってこない!!そのため、自分でATOのサイトを穴が開くまで見て調べました。
結局のところスーパーは払われておらず、給料についても納得いく回答が返ってきませんでした。その後、あまり改善させる感じがなかったので退職をして別のお店で働きはじめました。
「オーストラリアに来たばかりだからわからないだろう」と思われてそうされたのかわかりませんが、納得がいきませんでした。
それに、マネージャーが新しい車を買ったりしているのを見ると、どこかわたしのお金が使われているんじゃないか、という変な疑いを持ってしまい…楽しく働けませんでした笑
そのあと職場を変えて点々としましたが、ほとんどのところはペイスリップも契約書もあるし安心して働けるところばかりでした。
なので、全てがこんな適当な感じだとは言いませんが一つの体験談として、頭の片隅に置いておくと今後おかしいな?と思った時に、解決を探す糸口になると思います。
この経験談は、英語もままならず「オーストラリアで働くという知識」もなく働きはじめた私にとって大きな試練と経験になったのは間違えありません。
働きはじめるときに注意したい点
ABNを取ってと言われた
前のところで、少し脱線しましたが。
もしこのように言われたら、
1. なぜABNをとらないといけないのか
2. スーパーアニュエーション分は時給に上乗せされるのか
3. 保障の確認
をしっかりと確認した方がいいでしょう。
ABNを取らせるそれなりの理由があるなら、ちゃんと説明してくれるはずです。
正直言って、リメディアルマッサージの資格を持っていてもTFN(タックスファイルナンバー)で働けるクリニックもあります。
「ほかのマッサージセラピストもABNをとって働いている」、「資格の勉強をしているならABNをもって働きべきだ」「リメディアルセラピストもABNで働いているから」などというのは、正当な理由と言えないでしょう。
トレーニングをするからお金を払えと言われた
実際にクラスメイトが昔面接に行ったところでは、
「未経験のためトレーニングをするから1日100ドル払え」と言われたそう。
このようなトレーニングの仕方は、あまり現実的なオファーではないと思います。
わたしが以前に働いたお店は、トレーニング費としていくらか払わされた記憶があります。しかし、それはお店へではなくトレーニングをしてくれるセラピストへの時給ということでした。先輩セラピストも自分の時間を割いてトレーニングをしてくれてるので、それは納得でした。
ただ、トレーニングだけのためにお金を払って働くのは、個人的には『?』が残ります・・・
「働きはじめてから何ヶ月は辞められない or 辞めたらいくら払え」という契約をさせられた&サインをさせられた
規定によっては辞めたあとに、半年から一年間は同じエリアで働いてはいけない、などという決まりがあるところはあります。
しかし雇用を強制するものは存在しないと認識しているので、それも怪しいでしょう。
きっと「トレーニングしたあと別のもっと時給のいいところで働いて欲しくないから」、などという理由なのかもしれませんが・・
【自分の隙を狙ってくる】セクシャルマッサージを求めるこんなクライアントたち&セラピストを守れないボスは信用できない説
オーストラリアはオイルマッサージ中心です。
そのため、クライアントは下着以外は服を脱ぎマッサージを受けます。
マッサージ業界は奥が深く、セクシャルなサービスを提供するお店もあります。
\詳しくはこの記事を見てみてね!/
そういうサービスがあることについて、そのようなセラピーが必要な人もいるので個人的には何とも思いません。しかし、そのようなサービスを私たちのようなセラピストに求めてくるクライアントも、残念ながら中います。
よくハッピーエンディングなどと言われますが。
「君はハッピーエンディングやってるかい?」と、何度聞かれたことか…
あとよくあるのは、触ってくるクライアント。
わたしが遭遇したのは、「君は力があるねぇ」と言いながら腕を触ってくるおじさん。私はそのまま相手の手をひっくり返して、相手の腕のマッサージを始めたのでそのあとは何ともなかったですが笑
あとは部屋に入ったら下着脱いで寝ていた、ドアを開けたらクライアントのお尻が私に見えるように寝ていた(ドア側に頭がくるようなテーブル配置なのにおかしい)など。
残念ながらそんな人をたくさんみてきました。
今となれば冷静な対応もできますが、オーストラリアにきてショックの連続でした。
一番ショックだったのは、マッサージの最中自分のを触っている人。気がついてすぐ部屋から出てマネージャーに行って対応してもらいましたが、自分で何に遭遇しているかその時はわかりませんでした。でもマネージャーがきちんと対応してそこで帰されていたので、よかったですが、あれはなかなかショックでした。
はっきり言いますが、変なことをしてきたクライアントに甘い対応をするボスはあてになりません。
セラピストを守れないボスほど信用できないところはありません。
また、変なことをされただけではなく、ケガしているセラピストを無視し、ひたすらそのセラピストを使い続け、挙げ句の果てにクビにする、という話は同じクラスメイトにあった話。
本当に辛そうでかわいそうすぎました。
私は悪くないのに、ただ手が痛くて少し休みが欲しいといっているのに休憩もくれない、休む時間もないし、お金も稼がないといけない。と言っていました。
最終的に彼女はそのお店を辞めて別のところで働き始めました。
クライアントも大切ですが、ほんとうに自分が困った時に助けてくれるボスも大切です。
リメディアル ができるようになってからは、めっきりそんなことも減りましたが、資格を取る前はやはりそういう人に目をつけられたことが多々ありました。
やはり裸でマッサージを受けていれば変な気持ちになる人もいるし、逆に留学生を狙っている人もいました。日本人だけに声をかけてる人もいましたし、そんな人はどこにでもいると思った方がいいでしょう。
特にセラピストになりたての場合は、手つきもまだ慣れておらず、軽い触り心地だったり何かぎこちなかったりすると隙を生みます。
隙を作らず、プロフェッショナルな姿勢でいること。
「断れない」「ためらう」などは彼らに隙を与えることを覚えていてください。
クライアントから連絡先を教えて欲しいと言われた
これは本当によくある話。
フェイスブックから私の名前を探し出してメッセージを送ってきた人もいました。笑
アソシエーションには、
クライアントとはプロフェッショナルな関係を築くこと、
と記載されています。
そのため、連絡先を教えることは良いとは言えないでしょう。
このあいだ聞いていたポッドキャストでこんなことを言っていました。
Are you becoming a friend with your Dr.? Dentist ?
-> No! Has to be tied boundary!
お医者さんや歯医者さんとお友達になりますか?なりませんよね?
バンドリー(境界線)を一線引く、ということは、プロフェッショナルでセラピストをやるということでとても重要だと思います。
私は日本の整体時代が長くありません。資格をとってすぐオーストラリアに来てしまったので経験が浅いです。日本でどんなことがあるのかはわかりかねます。
しかし、オーストラリアで言えることは「自分の身は自分でしか守れない」ということです。
信頼できそうなボスでも裏で何してるかわからないし、いざというときに裏切られることもあります。
ワーホリや留学で来て、マッサージ経験もないまま、マッサージ店で働く。トレーニングはお店から受けて、クライアントに入る。
わたしもそこからスタートして楽しいこともあったけど、嫌なこと裏切られることもたくさんありモヤモヤ・・・。
リメディアル マッサージの資格を取った今、自分を守りながら楽しく働くために言えることは、
隙を作らない
自分の身を守れるように、信頼できそうな人・いつでも相談できそうな人をそばに置く
できないことはできない
ということです。
日本で経験がある方なら特にわかるギャップだと思います。
楽しんでセラピストとしていられるように、一緒に頑張りましょう。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。